ハツコイ




ーーーーー…柚?




あれから、10年か…





「ゆーずっ!!」



「へっ?あ、ごめん。何?」




しまった。



アルバム見ながら、ついつい高校時代を思い出してた!!




「で、思い出したの?いつから俺のこと気になっていたのか。」



琉偉に顔を覗き込まれる。




そうだった…いつから琉偉のこと気になっていたのか聞かれて、それで振り返っちゃってたんだ。




「うん、思い出したよ。……入学式の日だった。」



「…え?」




ビックリした表情の琉偉。



「あの時から気になってたと思う。横顔がすごく綺麗な男の子だなって思った。本当に意識したのは、初めて一緒に日直した日だな。」



そう言いながら、琉偉の腕に自分の腕を絡ませ、身体を預ける。



そんな私の肩を、当たり前のように抱き寄せてくれる琉偉。




「じゃあ一緒だ。俺も入学式の日、隣の席に座った柚に一目惚れしたんだから。」



もう過去のことなんだけど、同じ日に惹かれあっていたという事実に、胸がキュンとした。




「あ、ねえ覚えてる?初めて日直した日の帰りのこと。琉偉が傘忘れて、一緒に帰って。」



すると、琉偉がちょっと照れた表情で私を見た。



「…覚えてるよ。だってあの日、俺本当は…傘持ってたからさ。」



「ええっ?」




10年経って明かされる、あの日の真実。




「鞄の中に折りたたみの傘入れてた。だけど柚と一緒に帰る口実作りたくて…」



ほんとに照れちゃってる琉偉が、心から愛おしいと思った。




「それがあって、今の私たちがいるんだよね。琉偉が傘忘れたフリしてくれなかったら、話す機会逃したままだったかもしれないもん。」



「…だな。」




いつまでもいつまでも、色あせない思い出。



結婚しても、子供が生まれても…




いつまでもこの気持ち、持ち続けたいって…




心から、思った。



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