ハツコイ
「…ね、柚奈ちゃんと琉偉くんって、前に一度付き合って別れてたんだってね。」



「どうしてそれを…」



芽衣ちゃんが知ってるの…?




「シゲさんって本当、口軽いよね。あの人にちょっと色目使ったら、琉偉くんの携帯番号から何から、なーんでも教えてくれたわよ?」




シゲさんにまで、そんなことを…?



人のこと、なんだと思ってるのよ。




「ね、柚奈ちゃん。一度壊れた恋愛なんてね、どうせまたすぐ壊れるのよ?」




フッと笑いながらそんなことを言ってくる芽衣ちゃん。




「や…めて。そんなことない…」





「そう?だって現に、隠し事されてるじゃない。やましいことがなければ、あたしと電話してること、柚奈ちゃんに報告するんじゃない?それを隠してたってことは…」




「やめてっ!!」




思わず、耳を塞ぎながら叫んでしまった。




そんな私を見て、芽衣ちゃんが鼻で笑った。





「結婚する前から隠し事されちゃうなんて、この先本当に大丈夫?………別れちゃえばいいのに。」




怖い。




この人が、怖い。





琉偉と過ごしてきた幸せが、足元から崩れて行くような気がして。








そこで、私の意識は…







プツリと途切れた。





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