ハツコイ
「芽衣が自分でデマ流したんだろうけど、それだけじゃ済まないような気がして。だから、なるべく琉偉と離れないようにいた方がいいと思って、あたしが柚奈にそう言ったのよ。」
マジかよ。
カバンからスマホを取り出し、柚に電話をかける。
だけど…
「…出ない。」
「もしかして、あの子…芽衣と一緒なんじゃ………」
あーみんの言葉に、胸騒ぎを覚えた。
「…本当は、かけなくなんかねーけど……」
頼りたくもないけど、今はとにかく、柚の居場所を突き止めることが先決だ。
そう思い、俺は芽衣の番号に電話をかけた。
すると…
『もしもし?』
「芽衣!柚と一緒か?どこにいる!」
電話の向こうで、フッと笑う芽衣。
『さあ?ただ一つ言えるのは…柚奈ちゃん、かなりショック受けてたわよ?』
「は?ショック…?」
『あたしと電話してたこと言ってなかったんだ?隠し事されてたなんて、柚奈ちゃん可哀想〜。』
それは、言ったら柚が心配すると思って…
「…そんなことは柚に会っていくらでも誤解を解く。だから居場所教えろよ。」
『…柚奈ちゃんに言ったこと、琉偉くんにも教えてあげるわ。誤解を解くなんて簡単じゃないの。……一度壊れた恋愛なんて、どうせまたすぐに壊れるわ。』
「……おまえ…」
なんで、俺と柚が一度別れたこと知ってんだよ。
『ま、二人の恋がどう歪んで壊れていくか、楽しみにしてるわ。』
そう言って、芽衣からブツリと電話を切られた。
「…ふざけんなよ、あいつ!」
「何荒れてんのよ、琉偉!柚奈探すのが先でしょうが。」
怒りで気が動転しかけた俺に、あーみんが喝を入れてくれた。
「…だよな。ありがと、あーみん。」
「あたし、百合にも連絡しとくから。あんたは早く探しに行きな。」
「ああ!」
柚。
柚。
どこにいる?
こんなことで壊れるような恋じゃないだろ?