ハツコイ
「倉科、資料ありがとう。」
上司である安原さんに頼まれていた資料を渡すと、爽やかな笑顔で微笑んでくれた。
「あ、いえ…」
心臓がドキドキして、その場を早く立ち去らないと音が聞こえてしまいそうで。
「では、失礼します。」
そう言って去ろうと思ったのに。
「待って、倉科。そろそろあの返事を聞きたいんだけど…」
そう安原さんに言われ、顔が熱くなった。
「あ、あの…明日でもいいですか。」
延ばし延ばしにしてるだけで結論なんて出ないけど…
もう一日考えさせて!!
その思いは伝わったようで、安原さんは笑いながら頷いてくれた。
「急がせてごめん。いい返事期待してるよ。」
ペコっと一礼し、自分のデスクに戻りふうっとため息をついた。