ハツコイ
黙ったままの柚に、もう一つのウソを伝える。




「あともう一つ、嘘ついた。」




安原さんのことだと思ったのか、柚がさらに不安そうな表情を見せた。




「…芽衣と電話したの、1回って言ったけど、2回だ。さっき、柚はどこだ!って電話かけたんだった。」



そう言うと、柚がやっと笑った。




「ふふ。焦って芽衣ちゃんに電話してる琉偉の顔が浮かぶ。」




「柚が気を失ったんだったら、あれこれ考えずに知らせてほしかった。俺が嫌なら、俺じゃなくてもいいから、医務室に柚を連れていって、助けを呼んでほしかったんだ。」





そこまでして柚を追い詰めたかった?




それとも…





「…なあ、柚?」




「え?」



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