ハツコイ
「柚奈〜!無事だったんだね。よかったー!」
アパートの二階に着いた途端、あーみんにぎゅっと抱きしめられた。
「あーみん、心配かけてごめんね。…百合さんも。」
あーみんの後ろで優しく微笑む百合さんにもお礼を言う。
「柚奈が無事でよかった。あんたは私たちの大事な妹だからね。」
その言葉に、不覚にも泣きそうになってしまった。
そんな時。
琉偉の隣の部屋のドアが開く音がしたと思ったら、芽衣ちゃんがこっちを向いて立っていた。
いざとなると、やっぱり怖くて何も言えなくなってしまった私の前に、琉偉が立ちはだかる。
「芽衣。どうだ?お前の思い通りになったか?」
琉偉のその言葉に、芽衣ちゃんは歯を食いしばり琉偉を睨みつけた。
「…わかってたわよ、そんなこと!あんたたちがこれくらいで壊れるなんて思ってなかった。だけど、幸せオーラ全開のこの女が許せなかった!」
わ、私…そんな幸せオーラ全開だったのかな。
芽衣ちゃんに圧倒されていると、今度はあーみんがこう言った。
「これくらいで壊れると思ってなかった?……ふざけるな!」
この場にいたみんなが、あーみんが怒ったことに驚いた。
「あんたはこれくらいって思ったことでもね、この二人には大きな影響があった。柚奈の姿がなくて、琉偉はあんたへの怒りで理性を失いかけてた。」
え…?
思わず琉偉を見る。
理性を失いかけてたなんて、知らなくて。
公園に来た時は、そんな感じなかったから…。
「それに、柚は気を失っていた。そんな柚を…お前は放置したんだろ?」
今度は琉偉が、低い声で問いかける。
すると…
「……あたしのせいばかりにしないでよ!元はと言えばあんたが悪いんじゃない!」
そう叫ぶように言ったので、私のことなんだと思い、恐る恐る芽衣ちゃんを見ると…
その視線は、琉偉に向けられていた。