ハツコイ

「一度もクラスは一緒になってないから、柚奈ちゃんがあたしを知らないのは当然。だけど…」



そう言いかけると、芽衣ちゃんは膝の上で手をぎゅっと握りしめた。



「琉偉くんには覚えていてほしかった。あたしは高校時代、琉偉くんに二度も告白したんだから!」



「二度?」




百合さんが首をかしげる。



芽衣ちゃんは俯いたまま頷いた。




「1度目は入学してしばらく経った頃。琉偉くんを呼び出して告白したけど、フられた。『好きな人がいるから、その子以上に想えない。でも気持ちは嬉しかったよ』って。それだけで、救われた。」



気持ちが一気に高校時代に戻る。



琉偉がたくさんの女子から告白を受けていた時期は知ってる。




直接告白してきた子にはきちんと断ってるって聞いたけど、芽衣ちゃんが教えてくれた琉偉の言葉は、すごく優しい言葉だなって思った。



だけど…芽衣ちゃんはなんで怒ってるんだろう。




「しばらくして、琉偉くんに彼女ができたことが学校中の噂になって知った。相手は、男子が可愛いって噂をしていた倉科柚奈ちゃん。お似合いの二人だなって、素直に受け止められたわ。きっと他に琉偉くんを狙っていた子もそうだったと思う。」




琉偉はあまりの驚きに言葉を失っているようだった。



私も何も言えないでいると、今度はあーみんが口を開いた。



「二度目の告白っていうのは?」


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