ハツコイ

「あ…芽衣ちゃん!」



話し合いが終わり、百合さんの部屋を後にした私たち。



芽衣ちゃんが自分の部屋のドアを開けて中に入ろうとしたのを止めた。




「…何?」




「ここ、引っ越さないでね。また二階会でみんなで盛り上がろう?」



なんだか、芽衣ちゃんが急にこのマンションから引っ越しちゃう気がして。



いろいろあったけれど、同じ人を好きになった私たちだもん。



きっといつか、わかりあえると思うんだ。




「柚奈ちゃん、お人好しすぎ。……また…ね。」



そう言って今度こそ部屋に入っていった芽衣ちゃん。



そんな芽衣ちゃんを見ていた私の後ろで、琉偉がフッと笑った。





「…柚は強いな。」



「え?」



振り返り琉偉を見上げると、優しく見つめられた。




「柚は強い。さっきの言葉…すげー嬉しかったよ。」



そう言って、琉偉は私の部屋のドアを開けて、私の手を取り中に入るよう促した。




「さっきの言葉?」




ドアの鍵がガチャンと閉まる。




「芽衣が好きになった人は、いい加減な人じゃないって…あの言葉。いろいろあったけどさ、きっと今回のことは、俺たちの絆を試されてたのかなって。」




そんな琉偉をぎゅっと抱きしめた。



「うん…きっと、神様からの試練だったんだよ。」




そんな私を、琉偉が優しく抱きしめ返してくれる。



「試練…合格かな?神様に結婚、許してもらえるかな?」



「ふふふ。ダメって言われても、するもん。」




そして、キス。




だんだん深くなっていくキスに、立っていられなくなれば…





必ず、琉偉が支えてくれる。




この腕に、ずっとずっとついていきたい。



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