ハツコイ

「じゃあ、頑張れよ。」




「うん。」




そう言って琉偉と別れてオフィスに入ろうとした時…





「倉科!!」






こっっ…この声は!!





「や、安原さん…」





そうじゃん!




安原さんてば、今日からマーケティング課…琉偉と一緒なんだった。





「倉科と同じオフィスで働けなくなったのは残念だけど、隣のオフィスだと思えば、そんなに寂しくないかな。」




そう言って笑う安原さんに、私は何も言えないでいた。




「一生懸命働く倉科の姿、可愛いんだよな。それが見れないのが残念。…また、あの返事聞かせてくれな。」




そう最後に言って、爽やかに去っていった安原さん。





「今のって…」




琉偉が安原さんの後ろ姿を目で追いながら呟いた瞬間…





「あ、じゃあお互いガンバロウね!!」




逃げるように、デザイン課のオフィスに飛び込んだ私。





よりによって、琉偉の前であんなこと…!!




琉偉…何か思ったかな…。





「あーもうっ、しっかりしろ自分っ。」





気を取り直して…




今日から新しいオフィスで、頑張らないと。


< 24 / 211 >

この作品をシェア

pagetop