ハツコイ
「じゃあ、頑張れよ。」
「うん。」
そう言って琉偉と別れてオフィスに入ろうとした時…
「倉科!!」
こっっ…この声は!!
「や、安原さん…」
そうじゃん!
安原さんてば、今日からマーケティング課…琉偉と一緒なんだった。
「倉科と同じオフィスで働けなくなったのは残念だけど、隣のオフィスだと思えば、そんなに寂しくないかな。」
そう言って笑う安原さんに、私は何も言えないでいた。
「一生懸命働く倉科の姿、可愛いんだよな。それが見れないのが残念。…また、あの返事聞かせてくれな。」
そう最後に言って、爽やかに去っていった安原さん。
「今のって…」
琉偉が安原さんの後ろ姿を目で追いながら呟いた瞬間…
「あ、じゃあお互いガンバロウね!!」
逃げるように、デザイン課のオフィスに飛び込んだ私。
よりによって、琉偉の前であんなこと…!!
琉偉…何か思ったかな…。
「あーもうっ、しっかりしろ自分っ。」
気を取り直して…
今日から新しいオフィスで、頑張らないと。