ハツコイ
駆け込むようにオフィスに入ると…




「君が倉科柚奈さん?」




と、男性に声をかけられた。




「あ、はい!企画開発から異動になりました、倉科です。」




「僕は佐渡。一応ここの課長です、よろしく。」



佐渡(サワタリ)課長か。




とても優しそうな人で、安心。




そんな課長席の隣に座っている女性。




眼鏡をかけて、髪を一つにまとめていて、バリバリのキャリアウーマンって感じの女性だ。




そんな私の目線に気づいてか、佐渡課長が紹介してくれた。




「ああ、彼女が実質デザイン課をまとめてくれる課長補佐。僕はちょこちょこ出張に行くことが多いから、そんな時は彼女にここを任せてある。おーい、志賀!」




へぇ…まさにキャリアウーマン……




って…今、志賀って言った??




「志賀亜美です。よろしく。」




「あっ…あーみっっ…」




あーみん、と言いかけて、口をつぐむ。




あの、天真爛漫なあーみんが、この人!?



琉偉の言ってたとおり、本当真逆なんですけど。



ニコリともせず、さっさと席についてしまったあーみん。




まさか、双子じゃないよね…?





「はは、志賀はあんな感じでいつもクールだから。気にしないでくれ!」



呆然と立ち尽くす私に、課長が笑いながら背中をぽんと叩いた。



いやいや、嘘です!!




本当のあーみんは、めっちゃ笑ってますから!!



…なんて言えるわけもなく。




この微妙な環境の中、新しい仕事を始めることになったのです。


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