ハツコイ
12時を知らせるチャイムが鳴る。




みんな、続々とお昼休憩に向かう中、私はふうっとため息をついた。




すると、デスクの片隅に置いておいたスマホが鳴る。




真希からの“お昼行けそう?”のメール。




真希なりに、心配してくれてるんだろうな。



そんな真希に返信をして、いつも二人でランチするカフェに向かった。




そして、真希に会うなり緊張が解けて、愚痴のような会話が始まった。




「はぁ〜疲れたぁ。慣れないところってやっぱ大変だよー。」



「ふうん。」




「あ、そうだ。朝、安原さんに会っちゃって。まだあのこと返事してないからさー…」



「あ、そう。」




「………真希、聞いてる?さっきからふーんとか、あっそとか…」



いつもの真希なら、二言三言返してくれるのに。



様子がおかしいな、と思ってたら…




「私が聞きたいのは、そんな話じゃなくて。柚奈、あんた安座間琉偉と知り合いなの?」



「へっ、琉偉?」




何で真希から琉偉の、しかもフルネームが出てくるの??



頭上がクエスチョンマークだらけの私に、真希がため息をつきながら言った。




「安座間琉偉。社内でダントツの人気者よ?柚奈、いつの間にお近づきになったのよ?」




「人気者!?いや、私はただ…琉偉は高校時代の同級せ…」



いや、正直に言おう。



真希には、隠したって仕方のないことだから。




「…ていうか、元カレ……だから。」




「はー!?あの安座間琉偉が!?」




いやいや、琉偉って社内でそんなに有名人だったの?




よく私、昨日まで知らずにこの会社にいたよね…。



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