ハツコイ
「でもそれってさあ、柚奈が安座間琉偉に未練が残ってるのと同じで、彼だって柚奈に未練があるんじゃない?」
私も会うまではそう思ってたけどね。
「実は、一人暮らしのマンションの隣の部屋が琉偉で、それで偶然再会したの。だけど琉偉には、すごく可愛い彼女がいたよ。」
「え?彼女!?その情報は私の耳には入ってないんだけど。」
ていうか、真希の情報網はとんだけすごいのよ。
「麗華さん。確か…三橋麗華って言ったかな。」
「はぁ!?三橋麗華!?あんたも面食いなら、安座間琉偉もなかなかの男ね。」
え、麗華さんまで有名人??
「三橋麗華は、副社長の秘書だよ。しかも副社長直々の推薦でね。」
「そ…なんだ。」
そんなすごい人が琉偉の彼女なんだ…。
「でも…なんか変だな。」
突然、真希が呟いた。
「何が?」
「三橋麗華。安座間琉偉の彼女なんて噂、すぐに社内に広まりそうなものなのに。この私が知らないなんて、変。」
「何それ。でも…なんだかすごくお似合いだったな…。」
麗華さんは、琉偉としょっちゅう連絡取り合ったりするのかな。
私は、離れつつあった彼を引き止めることが出来なかった。
「んー…やっぱ、なんか変だよなー。」
「え?何?」
「んーん、何でもない。」
真希が何か言った気がするけど…
とにかく、琉偉は会社で人気なんだ…。
なんだか、とても複雑な気分になった。