ハツコイ
「さあ…どうだったかな。」
そう言った琉偉が、チラッとこっちを見た。
こっち見ないでっ!!
「倉科、モテそうだな。制服姿、可愛かっただろうな。」
やけにストレート発言な安原さんに、思わず赤面してしまう。
「ああ、それは可愛かったっすね。」
ケロっとした表情で答える琉偉。
「ちょ、ちょっと琉偉っ!!」
ますます赤面してしまう。
なんてこと言うのよ!!
「ははは、安座間最高!!」
琉偉の発言を、安原さんは冗談と受け取ったようで、楽しそうに笑っている。
「しかしお前ら、お互い名前で呼んで…ただの同級生って感じじゃないな。」
「あー…3年間クラス一緒でしたからね。クラスメイトは大抵名前呼びでしたよ?タケル〜とか、エリ〜とか。」
嘘つけっ!!
タケルくんやエリは、仲良かったからでしょうが!!
そもそも、エリのことは水樹って名字で呼んでるくせに。
…でも、今はその嘘に感謝。
「なるほどね。じゃあ倉科、俺も柚って呼んでいい?」
「え…?」
突然の安原さんからの提案。
エレベーターが一階に到着し、扉が開いた。
「柚って響き、可愛いよな〜。なあ、安座間?」
笑いながら先に降りて行った二人の背中に、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、多分無意識だったと思う…
「や……です…」
そう、呟いていた。