ハツコイ
「……やっぱりね。付き合ってたんだろうなと思ったよ。」



「すみません…あの時は何だか、急に再会してテンパっちゃって…」




それに、あの日はこの二階会に麗華さんもいたし…。




「てことはぁ、柚奈はまだ、琉偉のこと好きなわけ?」



あーみんに核心を突かれる。




相変わらずベランダで話し込んでいるりょうちゃんと琉偉。




二人に聞こえないよう、コソコソと話す。




「…自然消滅って形で別れた…のかどうかもわからない状態で10年間が過ぎていったので。未練があるだけなのかもしれない、気になるだけなんだって、最初はそう思ってた。でも、再会して…今でも好きなんだな…って。」




「そっか…」




百合さんが、そう呟きお酒をぐいっと飲み干した。




「柚奈、今日まだ琉偉と話してないでしょ。」




いきなり、あーみんに指摘された。




「はい…。今日っていうか、ここ3〜4日話してません…」




そう言って、私もお酒を飲み干す。




すると、あーみんが真顔で言った。




「ちゃんと琉偉と話してきな。そりゃあ気まずい気持ちもわかるけど、元カレの前に高校時代の友人でしょ?簡単に友達失くすもんじゃないわよ。」




それは、会社でのクールな志賀さんの顔だった。



「あーみんの言うとおり。一回琉偉と話してご覧。案外、あいつも気にしてるんじゃない?……りょうちゃん、ちょっとー!」




百合さんがそう言って、りょうちゃんを呼び寄せた。




私はあーみんとアイコンタクトを取り、琉偉のいるベランダへ。



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