ハツコイ
翌日、出社した私の前に大きく貼り出されていたのは、辞令だった。




各部署ごとに人事異動が簡潔に書かれている。





「…あ。」




安原さんの名前。




企画部企画開発課から、企画部マーケティング課に異動になっている。




マーケティング課の課長。




マーケティング課は、社内のエリートが集まる部署だと聞いている。




安原さんの能力が買われたってことだろうな。




そんな風に、ぼーっと安原さんの名前を見上げていた時だった。




「ちょっと柚奈!!何ぼーっとしてるのよ。異動になっちゃってるじゃん!!」





「ええっ!?」




いつの間にか隣にいた真希に肩を揺さぶられながら、素っ頓狂な声をあげてしまった。




パッと自分の名前を見る。




「で…デザイン課……」




無理!!




無理無理無理!!!!!




私に商品のデザインなんて、無理ー!!




…なんて、今さら言ったところでどうなるわけでもなく。






その日の午後は、自分のデスクの荷物をひたすらダンボールに詰める作業に追われたのだった。



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