ハツコイ
結局、初日は話しかけることができなかった。
「おーい、琉偉?何ぼーっとしてんだよ。」
「あ、タケル…。」
ホームルームが終わったことすら気づかないくらい、彼女に夢中だったみたいだ。
タケルは中学時代からの親友。
同じクラスになれた奇跡に感謝しながら、すぐさまタケルにこの一目惚れのことを話した。
それは、恋愛に奥手な俺にとって、タケルに相談でもしないと上手くいかない気がしたのもあるけど…
タケルにライバルになられるのだけは避けたかった。
だから、先に言ったもん勝ちじゃないけどさ?
セコイかもしれないけど、入学式早々、気になる人がいるって親友に打ち明けた。