ハツコイ

いつの間にか、教室には二人っきり。




「この日誌を最後に書いて、先生のところへ持っていかないといけないんだって。」




そう言いながら、シャープペンを手に取る倉科。




「あ、そうなんだ。じゃあ俺書くよ!」



俺書くの!?




思わず口走った自分に、心の中で自分自身につっこむ。




すると倉科は…




「ありがとう。じゃあ、これ使って?」




持っていたシャープペンを俺に貸してくれた。




やべえ…超感動!!




倉科のシャープペンを、俺が使ってる。




そんなストーカーみたいなことを考えていた気がする。





「あと、ここになんか一言書けばいいんだよな?」



倉科に確認しながら書き進めていると…




倉科が、俺を見てニコッと笑った。





う。




カワイイ…。





「安座間くん…すっごく字上手なんだね。キレイな字…」




「えっ?あ、ありがとう…」




書道…





習っててよかったー!!!!!




母親が書道教室やってるから、物心ついた時から字を書かされていた俺。




それがこんなカタチで活かされるとは!!




倉科に、いいイメージ持ってもらえたかな?

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