ハツコイ
「送ってくれてありがとう。」
「こっちこそ、入れてくれてありがと。」
傘に入れてもらうついでに、倉科の家の前まで来てしまった。
「これ、持ってって。」
倉科が、さしていた傘を俺に貸してくれた。
「ありがとう。じゃ、また明日。」
「うん。またね。」
倉科に背を向け、歩き出す。
…だけど、勇気を振り絞り、振り返った。
「どうかした?」
「あのさ、倉科…。連絡先教えて?」
緊張しすぎて目も合わせられない。
そんな俺だったけど…
「うん、もちろん!!」
優しい倉科からの返事に、心は踊りまくった。
家に帰り、早速連絡先を携帯に登録し…
倉科の傘をキレイに乾かして、閉じた。
この傘を返すために、また明日も一緒に帰ったりできるかな。
そうやって、俺の恋はゆっくりゆったり、スタートしたんだ。