ハツコイ
その後、一杯付き合ってと琉偉に誘われ、部屋にお邪魔することに。




「…それで結局、白紙に戻っちゃってさー。また一からやり直しだよ。」




「それでこんなにも遅かったんだね。」




仕事の話をして、ふうっとため息をつきながらビールを飲む琉偉。





なんだか不思議。





こうやってお酒飲んでる姿も、仕事の会話も…




それから…





「ふう…あっつー…」




ネクタイを緩める、その姿も。





10年前とは違う、今の関係。





「ん?どーした?柚。」




「えっ?ううん、何でも。」




ネクタイ緩める姿って、こんなにも色っぽいんだ…。





なんだか…あの頃とは色々違うことがあるからかな。




「…はじめて琉偉と付き合う感じ。」




「ん?」




ボソッと呟いた言葉に、琉偉が首を傾げる。





「なんだか、大人になったなって。琉偉がすごく大人になってるから…あの頃とは違う付き合い方になるのかなって…」




すると、ビールの缶をテーブルに置いた琉偉が、私の肩を抱き寄せた。




「それを言うなら、こっちのセリフなんだけど。柚がここに引っ越してきて挨拶しに来てくれた時あっただろ?男の成長なんて、たかだか背が伸びたり体格が良くなったりくらいだけどさ、女の子が大人になるって、すごいよ。」



「すごい??」




今度は私が首を傾げる。




すると、琉偉の手が私の顎に触れた。





「…すげえキレイになって現れたから、かなりドキドキした。」




「………………………」





私、顔…絶対真っ赤!!




ただ、顔をそらしたくても、琉偉に顎を触れられてるから動けない。




「だから、俺も一緒。柚とこうしてまた付き合うのがなんだか新鮮。だから、いっぱい思い出作ろう?」




「…うん………」





「それから…」




そう言って、琉偉の唇が私の唇と重なった。




そっと離し、近距離で琉偉が微笑む。




「……いっぱいキス、しよ。」




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