ハツコイ
「電話してたみたいだけど……どうかした?」
あからさまに顔を真っ赤にさせて硬直してる私に、瑠偉が気づかないはずがない。
「…エリからで、結婚式のこと聞いてたの。………それと…」
タオルで頭を拭きながら私の隣に座る瑠偉。
上半身裸で、あの頃より胸板が厚いし、筋肉もついてる。
セクシーになってる、なんて言ってたエリの言葉を思い出してしまう。
「タケルくんに、私とのこと相談してたって聞いて…私のことずっと思っててくれて嬉しかった…」
もう…無理。
こんな男の色気全開の瑠偉の前じゃ、歯が立たないよ。
素直に言っちゃおう。
すると…
「水樹め〜!余計なことを。…まあでも、それは図星だからな。」
そう言って、ごく自然に私の肩を抱き寄せる。
そんな瑠偉の肩に、頭をちょこんと乗っけてみた。
そして、先程まで悩んでいたことについて、正直に打ち明けた。
「…あのね、琉偉。私…安原さんにまだ返事…できてないの…」
「…うん。」
「ずっと安原さんに返事を迫られてて、明日こそ、明日こそはって…延ばし延ばしにしてるうちに、琉偉と再会して。」
すると、私の肩に回されている琉偉の腕に、少し力が入った。
「…もし俺と再会しなかったら、柚は安原さんになんて返事してたの?」
「え………んっっ……!!」
突然の、息を吸う暇も与えられないキス。
苦しくて、いつものように胸を叩いて合図しても、噛みつくようなキスが降ってきて。
やっと息を吸えたと思ったら、瑠偉の唇が首筋にきて…
「あっ…」
思わず声が漏れてしまう。
そして耳元まで戻ってきた瑠偉の唇が、そっと囁いたの。
「…ごめん、嫉妬した。」