ハツコイ
家に帰るとすぐ、琉偉からメールが来た。
『そっち行ってもいい?』
そのメールに返信しようとしたらすぐ、インターホンが鳴った。
「琉偉…ただいま。」
「おかえり、柚。」
ニコッと微笑んでくれる琉偉に、心がふわっと暖かくなる。
「あ、あのね、安原さんにきちんと断ったよ。えっと…何から話せばいいかな…」
「聞いたよ、全部。」
「…へ?」
まさかの言葉に、完全にフリーズする私。
全部聞いた…とは?
「とりあえずここ玄関だし、入れてもらえるとありがたいんですが…柚ちゃん?」
「あ、ごめん。どうぞ。」
そういえば、琉偉が私の部屋に来るの、初めてだ。
いつもは私が琉偉のところへ行ってるから。
…じゃなくて!!
ソファに座る琉偉に、もう一度聞く。
「ね、聞いたって…何を?」
「安原さん。さっき俺に電話くれたんだよ。見事に玉砕したぞ、お前のせいだ〜って、笑いながら。」
「そ…だったんだ…」
私と別れた後、すぐに琉偉に電話したのかな。
すると、座っていたはずの琉偉が突然、背後から私を抱きしめた。
「る、琉偉…?」
「…柚が、高校の時から今までの俺に対する気持ち言ってくれたこと、安原さんが教えてくれた。大切にしてやれよって…」
そう言って、私を抱きしめる琉偉の腕の力が強くなった。
安原さん…
私が勝手に返事を先延ばしにして、こんな形でフってしまったのに…
「安原さん、かっこよすぎ。男でも惚れるわあ。」
琉偉も感動してるのか、冗談を言って気を紛らわそうとするから、思わず笑ってしまった。
「安原さんも言ってたよ。琉偉は男から見てもいい男だって。相思相愛だね。」
「じゃあ俺、安原さんと付き合っちゃおっかな〜。」
「えっ!?」
ビックリして、思わずくるっと180度回転し、琉偉を見上げた。
すると…
「んっ……!!」
立ってられないほど激しい、キスの嵐がこの身に降り注いだ。