ハツコイ
いつもの私の合図。
酸素が足りなくなると、琉偉の服をキュッと掴むの。
そうすれば…
「…よかった。」
ほんの一瞬だけ、キスから解放してくれるから。
「よかったって…何が?」
そう問いかける私を再びぎゅっと抱きしめてくれる。
「ちゃんと俺のところに帰ってきてくれて。もちろん信じてたけど、安原さんと柚が並んで帰っていく後ろ姿見て、気が気じゃなかった。」
「琉偉…」
そんな琉偉を、私も力一杯抱きしめる。
「俺はこれまでもこれからも、柚しか好きにならない。」
胸がキュンとする言葉。
それに対して、私は何を返してあげられるのかな。
いつもなら、すぐまたキスをするはずの琉偉が、なかなか次の行動に出ないことを不思議に思いながら、私はそんなことを考えていた。
すると…
「柚…この前言ったこと、覚えてる?」
「え?」
ふと琉偉を見上げると…
真剣な眼差しで私を見つめながら、言った。
「安原さんにきちんと断るまで“その先はしない”って話…忘れてない?」
「……………!?」
「柚は今日安原さんに返事をした。無事解決した。つまり………“その先”に進めるわけだ?」
た、確かに言ったけど…
きゃー!!!!!