ハツコイ
赤信号。



その向こうには、いよいよ海が見えてきた。




「今日お天気良くてよかった。海がキラキラしてるね。」




そう言って運転席の琉偉を見ると、真剣な眼差しで見つめられていた。




「ど…どうしたの…?」





問いかけても、何も言ってくれない。




ただじっと見つめられていて…





いつもと違う琉偉に、なんだか恥ずかしくなって目を逸らすと…





「ダメ、逸らしちゃ。俺を見て。」




そう言って、琉偉の手が私の頬に触れた。





「る……い…」




胸のドキドキに、琉偉を呼ぶ声すらまともに出ない。




すると琉偉は、相変わらず私を見つめたまま、フッと笑った。





「キラキラしてるよ。」




こ、このタイミングで海の話に戻るの!?




…なんて、頭の中では突っ込めても、大好きな人に見つめられている状態では歯が立たない。




「ひ、日焼けしないように気をつけなくちゃ。」




それでも、なんとか息を吸って口から言葉を出してみると…





「違う…」




「え?……んっ!!」





朝から、しかも車の中で突然の濃厚なキス。




そのキスに解放され、肩で息を吸い、涙目になっている私を見て満足したのか、琉偉は微笑み…




「キラキラしてるのは、柚。朝からこんなキレイな生脚見せられちゃ、襲いたくなるっての。」



そう言って、ちょうど青信号に変わったのを見て、何事もなかったかのように車を発進させた。




…キラキラしてるのは、琉偉だよ。




同窓会は楽しみだけど…





あの頃よりますますカッコよくなった琉偉を、他の女子に見せたくない…なんて思っている私が、知らず知らずのうちにいた。


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