ハツコイ
「あ、安座間…」



「二人、まだ付き合ってたんだ…ね。」





琉偉が来てくれて、キュンとしつつも…




男子たちが急によそよそしくなったのを不思議に思っていると、いつの間にか戻ってきたタケルくんがコソッと教えてくれた。





「みんなビビってんだよ、琉偉に。こいつ当時、倉科に好意を持って近づく男には容赦無く制裁を加えてたからな。」




「バカっ、タケル!余計なこと言うなっ!!しかも制裁って…んな大それたことしてねぇよ!」




そんなタケルくんの暴露に、急に焦り出した琉偉。





そんな、顔をほんのり赤くする琉偉に向かって、私は言った。




「琉偉…ありがと。」




「ん?いや、あんな風に絡まれてたら、そりゃ当然助けるよ。」




首の後ろに手を当てて、なおも照れる琉偉のTシャツの裾をつかんだ。





「今もだけど、昔も。ずっと私が男子の対応に困らないように、近づかせないようにしてくれてたんでしょ…?」




「え?…うん、まあ……てかただ単に近づかせたくなかっただけなんだけど…まあ、いっか。」




なんだかゴニョゴニョ言ってて、琉偉の言葉尻は聞き取れなかったけど…




昔からずっと私のことを守ってくれてた琉偉が、すごく愛おしく感じた。




今すぐ触れたい……





そう、思うほどに。


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