いちばん近くて遠い人
25.遠い存在
 朝、目を覚ますとコーヒーだけ飲むのが日課だ。
 身なりを整えて着替えをし……。

 いつもの時計を写真立ての隣へそっと置いた。
 写真立ての中の人がこちらを見て笑っている。

「ごめん。兄さん。」

 そう呟くと写真立てを伏せた。
 そしてクローゼットの奥から箱を出す。

 箱を開けて久しぶりに見るそれを手に取ると腕にはめた。









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