サーペンディス 天秤に架けられた少女
お城の中は大臣やらメイドさんやらたくさんの人が歩いてくる。中には毎日図書室の方に歩いていく私の顔を覚えてくれたのか、軽く会釈をしてくれる人もいる。ちょっと慣れないから慌ててするけど。
長ーい廊下にはいろいろな人物の絵がある。通称<絵の回廊>。
大臣やら大臣代理やら大魔女やら王様、王妃様。かといって、一般市民のすごい人の絵などなど。
青い絨毯の<絵の回廊>には大魔女の絵がズラーっと並んでる。今の大魔女様は4064代目。4064枚の大魔女様の絵がある。
その中の2446枚目の絵にご先祖様の絵がある。
2446代目大魔女、ナナ・ロイヤル・エラーリス。
小顔で茶髪、黒い瞳。ほんのり赤い頬。真っ白い新品の魔法服。長い杖。恥ずかしいのかちょっとほくそ笑んでいて、でも、どこかに威厳があって・・・。
就任近くだからすんごく若くて、きれいな人。二十歳くらいかな?
ご先祖様は嫌い。でも、見てると、なんか応援されてるような・・・・・。よく分かんないや。大魔女は嫌だけど、でも、魔法を勉強するのは好き。ちょっと、頑張ってみようかな?
私は走って魔法図書室に向かった―――。