サーペンディス 天秤に架けられた少女



「―――あんたの名前は?」

 私はフォークを掴んで言った。目の前にはベッドに寝ていた女の子。とりあえず急いでお風呂に入って、これから夜食をとるところ。
 いい匂いがしたのか寝息を立てていた女の子が目を覚まして、いっしょにご飯を食べるところです。

「そーいう『オバサン』は何ていうのよ」

 っこのガキっ!!
 とは言わずに『お姉さん』スマイルで喋る。

「私はレオナ・エラーリスっていうの。あなたは?」

 女の子は半熟の目玉焼きにがぶりついたまま静止した。
 あのぉ~もしもぉ~しぃ。卵が垂れてるよぉ。

「―――――名前――――なんだっけ?」

 はい?

「そーじゃなくてぜんぜん記憶がないの!!なんかいい匂いがして気が付いたらここで寝てて・・・・」

 記憶がない?
「ええ~とね、私、冗談好きじゃないんだけど・・・・」

 すると女の子は立ち上がり、
「ほんとなの!!ぜんぜん記憶が無いの!!私が今まで何してここに来たのかぜんぜん覚えてないの!!」
 女の子は私に睨みを利かせ、座った。

 記憶がない―――――?
 あれ?
 記憶を失くした子供、なんて言うんだっけ?確か――サーなんとか――――。


 えぇとぉ――んんとぉ―――思い出せない――――。



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