サーペンディス 天秤に架けられた少女



 親仁さんがカウンターの奥から出てきた。

「実は・・・・別れを言いに来たんだ」

「ああん?何だよ、別れって」
「ヨーロッパで魔女狩りが始まったんだ。魔力があるのはもちろん、占いや薬草で薬を作ったり、人の病気や怪我を治したりするやつが死んでってるんだ。んで故郷から手紙が来たんで帰る事になったんだ。」
 すると女将がやって来て、
「物騒な世の中になっちまったもんだねぇ」
 考え込むようなか格好をして眉間に皺を寄せる。

「それでしばらく帰られなくなるだろうから葡萄酒をちょっとね。あとルイスに『あれ
』をね」

「おいたぁぁぁ~~~んっっ!!!」

 舌の回らないかわいい声がした。
 どこからやって来たのか分からないけど、すごい勢いでやって来た親父さんの姪のルイス。どうやら親仁さんの1人娘の子供らしい。好きな彼と駈け落ちしたが子供ができてしまい、親に預けてもらってるんだとか。
 親仁さん曰く、「どこかのバカ娘が。」
「よぉ、ルイス」
 ルイスを抱きかかえる。
「元気か?」


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