サーペンディス 天秤に架けられた少女
師匠
あれからいろいろと話が弾んでいた。目線を胸元の懐中時計にやった。
もうそろそろセシルを迎えに行こうかしら。
「そろそろセシルを迎えに行くわ」
―――そう。また来てちょうだい。けっこう暇なのよ。外にも出られないしね。絶対よ、
セシルを連れて来てちょうだい。
アイリスが念を押すように言う。
「んもう、分かったってば。大丈夫だから、ね?」
椅子から立ち上がりドアを開けると、振り向き、手を振った。彼女も手を振り返してくれた。
廊下に出て立ち止まり、彼女の部屋を振り向く。
彼女・・・やっぱり気の毒だわ。
でもくよくよしてられない。
私は廊下を歩き出した。