秘密の約束。
「あれだよね。人間改造計画?
なんかテレビで見たんだけど。自分を変えたいからって家出しちゃうドラマなの。だから林さんも同じことしてるのかなーと思って」

あ、ドラマの話?ここはいっそ話に合わせとけ。

「そうなんです!ちょっと真似したくなって。自分がわからないんです」

ちょっとおどけてみせた。先生はクスクス笑って「そうなんだ」と言った。

「あ、そうそう。こんなこと言っていいかわかんないんだけどね」

そう言うと熱いはずのコーヒーをグイッと飲む。

「遠藤くん、おばあちゃんの家を継ぐんだって」

なんだ?この友達としゃべってるような会話は。
先生なのにこんなことしゃべっていいのか。

「そうなんですか」

あたしは動揺を顔に出したくなかった。すきを見せたらなにかされそうで
気がぬけなかったからだ。
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