秘密の約束。
向かい側におばちゃんは座った。

静かに話し始める。

「あなた達が過去を知りたいのはよくわかるわ。
だけど、知ってはいけないこともあるの。
お母さんは知らなければいけないなんてこと言うけど…
とりあえずちゃんと普通の子供みたいに学校に通ってちょうだい…
まだ間に合う。なにもしていないんだもの」

おばちゃんは下をうつむいていて

泣いてるみたいに

鼻声だった。


「だけど!

だけどもう過去の初めまで知ってしまったの。
今更過去は気にするな、なんて無責任すぎるよ!
おばちゃんもなにか知ってるんでしょ?
だから隠すんでしょ?」


あたしはいつの間にか興奮していて

体が熱かった。


「初め…

そうね。初めまで知ってしまったら最後まで知りたくなるものよね。
だけど、過去を聞いたからって、動揺はしないで






過去は過去なんだから。
去っていってしまった時間なんだから。
もう取り戻せないの」
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