秘密の約束。
あきこはうつむいていた顔を上げた。

彰は少し怒っているみたいだった。

「なんで?」

すねた顔。とがらせた口。


この人は本当にあたしのことを愛してくれてるんだと感じた。


「智子が。聞いてって言ったのよ。ヤキモチ焼かないで。あたしが好きなのは彰くんだけですからぁ」

とちゃかして笑った。


「もうバカ。びっくりしたじゃん」

「ま、聞いといてね」

「はいはい」


彰は少し呆れて頷いた。よかった。

これでとりあえず安心…かな。








ある昼下がり。
心地よい暖かさが教室全体を包む雰囲気の中

智子があきこにの隣にきた。


「ねぇねぇ、今度映画行かない?」


思いがけない誘いだった。また上原の話だと思っていたからだ。


「いいけど。2人で?」
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