秘密の約束。
おばちゃんは無理に笑顔を作って

涙をふいた。

「大丈夫よ。睦月もだいぶ混乱しているし、苺香も1人になりたいでしょう。
上で休んでおいで」


思ったより元気な声であたしは安心した。


「じゃあまた用事があったら呼んでね」


階段を上がり少し振り返る。


おばちゃんの涙ぐみながらもにこやかな顔を






今でも忘れられない。






忘れたくない。






あれはあたしが見る最後のおばちゃんで






最後に話す言葉だった。






「あ。お買い物とか行っちゃうから洗濯物よろしくね」




後ろから声が聞こえて「はぁーい」とだけ返事をした。






あたしは自分の部屋に行ってベッドに横たわる。





睦月は大丈夫かな…
見にいきたいけど気まずいな。
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