秘密の約束。
睦月を横目で見ながら

あたしは迷った。
言ったほうがいいのかな。いいよね。

でも今言ったらすぐにでも殺しにいきそうな気がして


言うのを止めた。


コロサレル


その言葉が頭をよぎった。もしかしたら、これは忠告なのかもしれない。


次はあたし


もしくは睦月が…






「ないです…妻はいつも穏やかでにこやかで
人から恨まれることも恨むこともありませんでしたから…」


一言、二言話す度に目から涙がこぼれていく。


警察は肩をぽんと叩いて


「それではこれで失礼します。」


と申し訳なさそうに帰っていった。





おじちゃんは鼻をすすりながら

「こんなお父さんでごめんな。…頼りなくて」


睦月とあたしの頭に手をのせて謝った。


おじちゃん…

そんなことないよ…
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