秘密の約束。
「あなたがいてくれて…よかったと…
今でも…昨日のように、9歳の睦月が見える…」



でも俺は最低な息子だった。言うことも聞かずに

やりたいことをやって

心配かけさせて


最悪な息子だったよ…。


こんな時でもお母さんはお母さんで

言いたいことを分かっている。


「あなたはあたしにとって最高の息子だったわ…
だから…もうすこし長生きしてたかった…」


俺の頬を撫でて

最後の力を出して微笑んだ。


その時






ピー…






心拍数が0を指した。






それが死を意味していることなんて



知っていたけど。



「お母さん…?お母さん嘘でしょ?

ねえ?もう一回睦月って呼んでよ…
もう一回笑ってみせてよ。ねえ?

お母さん!!!!!!」






涙が溢れて止まらない。視界はぼやけて分からない。どんなにどんなに泣いたってお母さんはかえってこない。
< 170 / 206 >

この作品をシェア

pagetop