秘密の約束。
「俺は借金ができた。ま、ギャンブルとかやってたから当たり前なんだが。
そんなとき、智子は俺に保険金の話を持ち出してきた。

────だから殺した」





淡々と殺した理由を話すひろしはとてもかわいそうな人に見えた。



「だから?それでなにか幸せは得たの?」


人を殺してお金をもらう。あげくのはてに関係ないおばちゃんを殺す。

浮気だってちゃんと話し合って

離婚していればもっと違う人生を歩んでいただろう。


「なんだ?なにが言いたい?」




ひろしはあたしの胸ぐらをつかみ、

近いほどの距離で聞いた。

「別に。分からないんだったらいい。
自分で考えれば?」

あたしはひろしの手をはたいて椅子に座り直した。
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