秘密の約束。
「その声聞き覚えがある。…お父さんだろ

お前、なにしてんだよ?」



睦月は立ち尽くしひろしを睨んだ。

ひろしは少し怖じ気づいた様子でナイフを持ってる手を緩めた。

あたしはそのすきに教室の脇にあるはさみをつかんだ。

「睦月…、お前
俺の声覚えてたのか?」



やっぱりどこか父親が残っている。
少し感動してるみたいだった。


あたしは怖さでわけがわからなくなっていた。


もう無我夢中でなにがよくてなにが悪いのかなんて



思いつかなかった。



気づくとあたしは叫んではさみを振りかざしていた。




「死ねぇぇえ!!」


はさみはグサッと鈍い音をたて

ひろしのわき腹に食い込んだ。


「うっ…」


ひろしの唸るような声が聞こえ、ドサッと倒れた。
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