秘密の約束。
睦月はなにも答えず呼び鈴を押した。

『はい…どちら様でしょうか。』

おじいちゃんみたいな声の人。

『睦月。』

素っ気なく答える。そのおじいちゃんみたいな声の人は睦月だとわかると

『睦月様でございますか。少々お待ちください。』

しばらくすると門が開いた。
おばちゃんのお母さんはすごくお金持ちなんだなぁ…

しばらく放心状態になっていたあたしを睦月はまた強引に引っ張る。

「すごく広いね。」

あたしはやっとで言葉を発した。
ものすごい門や家に圧倒されたから。
睦月は相変わらず無表情だ。

「俺、将来は……」

そう言った時睦月は何かに反応し、笑った。

あたしも前を見ると
おばちゃんにそっくりなおばあちゃんがいた。

思ったより若くてまだ六十代だと思う。

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