秘密の約束。
俺は一回上に上がり、ランドセルを持った。

「大丈夫…かな。」

歯ブラシ、着替え、お金。
これだけあればいいか。
あとはおばあちゃんに用意してもらえれば…

俺たちの旅。
いや、俺だけの旅になるかもしれない。

下におりて、このことを苺香に話そうか迷った。

「あっ!早く用意しなきゃ!睦月のせいだし!!」

やっぱり朝だし忙しいし、やめておこう。
着替えとかだけ宅配便で送っちゃったけど。

「用意できた?」

俺の顔を覗きこむ苺香。



びっくりした。

「出来てる」

俺はランドセルを背負いながら答えた。

「「行ってきまーす」」


お母さん、少しの間だけ家出させて。
また帰ってくるから…。


< 82 / 206 >

この作品をシェア

pagetop