おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「オレ今日、足やっちゃったんすよ!昼間ボードで!だから受付と洗い物やるんで…掃除行ってもらっていいすか?笑」


「なにダセーことしてんだよ!笑
いいよ、オレ行くから。」

そう言うとやまやまは、掃除用具を持って各ブースへ向かった。
キッチンに2人きりになって、わたしはすぐ佐藤くんに聞いた。

「足、大丈夫…ですか?」

佐藤くんはイスから立ち上がると声を出さず、口パクで″ウソ″とイタズラに笑った。
そして唇に人差し指をつけて内緒のポーズ。

「早くあがっちゃいなよ。また意地悪言われちゃうよ」

佐藤くんの全ての言動の意味が気になってしまう。
チョコは?今のウソは?ただの優しさ?


「ありがとう…ございます」

と、タイムカードを押して振り返ると真正面に佐藤くんがいて。

「気をつけて帰るんだよ」

と、またあの時みたいに頭をポンポンされて…
どうしたらいいかわからなくて
「うん//」と頷きながら、照れている自分に気がついてしまった。

どうしたんだろう…と思うくらい心拍数が上がっていく。
早足で歩いてバックヤードに滑り込むように入った。
鏡の前にしゃがみ込み呼吸を整えて、着がえより先にコートのポケットに手を入れていた。
やっぱり今日もそれはあった…
パッケージには-敬語禁止-と書かれていて、その下に11ケタの数字が並んでいた。

「ケイタイ…かぁ」

なんだろう…この気持ちは。

どうするべきかと考えても、行動しようがない。

何に悩んでいるかもわからなくなってくる。

ニットに頭を入れて、手を出した。

あっ…そっか!と声がでそうになって、なんでこんな簡単なことに気がつかなかったんだろうと自分に呆れる。


仕事用のメモ用紙とペンを出して、棚を台にしてスラスラとペンを走らせた。



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