おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
心が不安定な今、わたしには佐藤くんの存在がすごく必要で、ありがたかった。


キッチンへ戻ると、2人はまだ何かの話で盛り上がっている。
佐藤くんのように上手に、チョコを受け取った事を伝えられないのがもどかしい。


バッグを開けて帰る準備をするわたしの耳に、2人の会話が聞こえてくる。

「いや、中途半端が一番ダメだと思うんすよ!
ダメかなと思ってもやるって決めたら、もう行っちゃうべきっすよ!そこでウダウダしたらなんも手に入らないですからね」

「それがなかなかなぁ。
オレは確実に勝つってなるまではウダウダしちゃうな」

「まぁ、あのゲームはセーブ効かないっすからねー」

ゲームの話とは思わずに、真剣に聞き耳を立ててしまった。
そして佐藤くんの言葉が胸につき刺さっていた。

「けいいちはさ、何事にも早く白黒つけたいタイプだもんなー。」

「そうなんですけどねー。最近はグレーのままでいるのも有りなのかなとか思うんすよね…てか、グレーのままでいなきゃいけないっていうか…」

ドキンとした。

「なんの話だよ?!」


「いや、まぁこっちの話です」

「お前最近、オレに秘密多い気がするぞ!教えろ!」

「いや、なんもないっすよ!笑」


どっぷり聞いていた会話から耳をはなせず、携帯をいじるふりをしながらふざけ始めた2人をチラッと見ていた。

もう帰るべき時間なのに…

「まったく、これだからゆとりは困るよな!お前ら2人は完全にゆとり代表だ。水島くんくらいだよ、オレに従順なのは。」

佐藤くんとわたしを交互に見ながらそう言って笑うやまやま。

わたしは、これまでの会話は何一つ聞いてませんでしたという雰囲気で
「ん?何の話?」と聞き返した。


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