おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「昨日はまじでありがと。本当にありがと…」


フラつく身体を支えると、まだ熱くて


「やっぱりまだ熱あるじゃん。とりあえず…座って」


キッチンのイスに座ってもらった。
佐藤くんはまだ怠そうで、だらんとイスに座りながら昨日の事を話してくれた。


風邪気味だったのに約束していたスノーボードに行った帰りに、発作がきたこと。
子供のころ喘息持ちだったけど、何十年も症状がなかったから忘れていたこと。
必死に携帯の着歴から誰かもわからずかけた電話がやまやまに繋がったこと。

そして…


「本当にありがとね。かっこ悪いところ見せちゃったな」


そう言ってぎこちなく笑った。


熱もあるしまた発作がきては困るから帰ったほうがいいと言おうとして言葉を飲み込んだ。


家に帰ってもきっと…それなら一緒にいた方がいざという時に対応できると思った。



「とりあえず…座ってて。それかブースで寝ててもいいよ!夜勤は最初からわたしがやるつもりでいたから、大丈夫だから」



「オレ情けねぇな…まじでありがと。
でも…会いたかったんだ。どうしても…だからここにいさせて」


わたしは大きく頷いた。


「なんとなくね…来てくれる気がしてたよ」


わたしはそう言って微笑んだ。



だから、店長にもやまやまにも言わなかったのかもしれない。
ひとりにしない。って、言ってくれたから。



佐藤くんは
「見透かされてんな、オレ」
と笑った。


< 164 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop