おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
佐藤くんの家は市営住宅で、よりによって最上階。
エレベーターなどないから部屋まで送ることにした。
暗くて寒い階段を必死にあがっていく。


途中途中にあるガラス窓から見える月が綺麗で思わず見とれてしまった。



夜空の果てしなさに涙することはよくある。
今日は、より涙を誘う空だった。
そんなわたしに気がついたのか、ただ疲れたのか佐藤くんは階段に座り込み、


「ごめん。なんか、いろいろ…オレは大丈夫だから、もう帰っていいよ…迷惑ばっかりかけ…」


「違う!ちがう…よ。」


涙がポタポタ落ちる…


「後悔なんてしてない。だから…今日は、今夜だけは…ひとりにしないで」

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