おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
バックヤードからキッチンへ戻ってバッグを手に取ろうとすると、なにやらビニール袋をガサガサしている水島くん。

「食べる?」

声をかけられて目を向けると紫色のパッケージのお菓子っぽいものを差し出してきた。




近寄ってみると、なんだか笑ってしまうお菓子だった。

「あはは、わたぱち!懐かしいねっ」


「懐かしいっしょ?」


そう笑いながら水島くんはわたぱちを開けて、わたしにくれた。

水島くんが口に入れるのを確認して、わたしもひとくち。
当時とかわらない…口に入れた瞬間、甘い綿菓子がふわりと消えて小さなアメがパチパチとはじける。

口の中ではじける音が耳に刻まれていく。
水島くんと一緒の空間で初めてホッと和んだ気持ちになっていた。




わたしは、舌ったらずな口調で

「パチパチしてる」

と言った。

水島くんはフッて吹き出して、少し返答に困りつつ

「わたぱち…だから…ねっ」

って笑っていた。

「よかったらそれあげるよ」

水島くんに言われてパッと目を見開いた。

「えっ!?いいの?!」

別にわたぱちが好きなわけじゃない。
むしろどちらかと言えば苦手な方だ。
でも、こんなにもあからさまに喜んでいるわたしがいる。

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