おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
カウンターから佐藤くんの帰る姿をぼーっと見ているとキッチンから声がした。
第2ラウンドが始まるな…なんて、クスッと笑いながらやまやまのいるキッチンに顔を出すわたしがいた。


「イタ子ちゃんやるねぇー」


やまやまは2人きりになると中2男子の様なノリになる。
第2ラウンドは覚悟していた。
いや、むしろこれから先ずっと茶化されながらの仕事になるかもしれない。

カウンターとキッチンのちょうど間のカベにもたれ、澄ました顔で自動ドアを見ているわたしにやまやまは続ける。

「水島くんってイタ子ちゃんみたいな子がタイプなのかな?」

「いやいや、違うでしょ」

至って冷静にボソリと言ってみた。


「だって水島くんから連らく先聞いてきたんだろ?」

やまやまはまだ驚きに溢れた表情をしている。


「そうだよ」と頷くと、


「水島くんそんなこと出来ちゃう男じゃないからね!イメージ変わるわぁー」


「わたしだって、びっくりしたんだよっ!」


「たくっ、仕事中になにラブラブしてんだよっ!」


「全然そんな感じじゃないからね」

ムキになるわたしを見てクックックといつもみたいに笑ったやまやまは、シフト表をみながらボソリと言った。



「一応交換しとこう…携帯」

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