溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
「してないよ」
即答で返った。
「樹は沢崎の娘で、僕の命の恩人の娘だ。誰にも何も言わせない」
去年の冬に他界した父の名前を出す時。陶史郎さんはいつもより少しトーンが低くなる。
儚げに笑って。哀しそうに慈しむように、こっちに手を伸ばして頬をなぞった。
「キミはこの僕に幸せにされる為に生きてるんだからね。そんな詰まらないことは心配しなくていいんだよ」
なぞっていた指が顎の下に滑り落ちて、顔を上に向かせられた。すっと細まった眼差しに、鋼鉄のような揺るがない意志を称え。
甘い命令を下す。
「早くお嫁においで。樹は黙って僕に溺愛されてるだけでいい」
即答で返った。
「樹は沢崎の娘で、僕の命の恩人の娘だ。誰にも何も言わせない」
去年の冬に他界した父の名前を出す時。陶史郎さんはいつもより少しトーンが低くなる。
儚げに笑って。哀しそうに慈しむように、こっちに手を伸ばして頬をなぞった。
「キミはこの僕に幸せにされる為に生きてるんだからね。そんな詰まらないことは心配しなくていいんだよ」
なぞっていた指が顎の下に滑り落ちて、顔を上に向かせられた。すっと細まった眼差しに、鋼鉄のような揺るがない意志を称え。
甘い命令を下す。
「早くお嫁においで。樹は黙って僕に溺愛されてるだけでいい」