溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
「おいで」
 
名を呼ばれる。

ウッドデッキと繋がるテラス窓を大きく開け放つと、夜と一体になった。カウチソファで一緒に毛布に(くる)まり、シャンパングラスを合わせる。

「やっと樹を独り占めできる」

狙いを定めた猟人が獲物を捕らえたみたいに。勝ち誇って微笑む彼。

「勿体ないからずっと閉じ込めて、僕の好きにするけどいい?」

「・・・いいよ。陶史郎さんがそうしたいなら」

どんなことでも。
それで陶史郎さんの気が・・・済むのなら。



その夜から。寝室が防音仕様だからと、声を我慢させてもらえない。喉が枯れるほど悲鳴を上げ続けて、・・・自分が壊れてく。

蜜を塗った棘の檻に囚われの。時間まで壊れる一週間の始まり。


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