溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
「・・・・・・お父さんへの義理だとか償いじゃなくて・・・、陶史郎さんに傍にいて欲しかった、・・・から」

少し間があって、横に寄りそう自分の左手に絡められた指。

「僕がそれだけの為に樹をお嫁に欲しいって言ってるって・・・思ってた?」

こくり。頷く。

「そっか。最初にちゃんと言っとくべきだったねぇ」

横顔が苦そうに笑んだ。

「沢崎にはね、樹がハタチになった時にお嫁にくれって頼んであったんだよ」

「・・・!?」

「思春期の娘をどうしていいのか、沢崎なりに悩んでたみたいだったから、僕を紹介する建前で食事でもしてみろって。・・・あの時は軽いお節介だったんだけどね」

 陶史郎さんは懐かしそうに続ける。
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