溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
「ちゃんと言っておく。僕は必ず沢崎の分まで樹を幸せにする。それはね、どんな言葉に換えても確かに償いなんだよ。たとえお前が赦しても、僕は一生背負ってく」

陶史郎さんが絡めてる指に力を籠めた。

「背負って、それ以上にお前を愛して死ぬから。迷わず俺だけ信じてお嫁においで、樹」

心臓の真ん中を一発で撃ち抜かれて。
吹き飛んで。
空いた穴に風が抜ける。
攫われてく。

今まで数え切れないくらいされたプロポーズは。銃弾になって的に当たってたけど、ぜんぶ足許に転がった。自分が跳ね返してた。

強く陶史郎さんの手を握り返す。

「・・・本当は陶史郎さんのお嫁さんになりたかった、ずっと・・・」
 
ありがとうって続けたかったのに。一秒で唇で塞がれたから、最後まで言えなかった。

キスは、口を食べられることだと思ってた。スキの代わりに繋げ合うんだ・・・って、初めて知った。
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