溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
陶史郎さんが泊まってくのは金曜の夜って決まってて。土日休みの自分に合わせてくれてるのも知ってる。

たいがい彼の気分で色んなところに連れて行かれたり、一日中ベッドの中だったり。行動が読めないから玉置さんも大変だろうなって、時々気の毒に思える。 

「ねぇ樹。今日は僕と何がしたい?」

悪戯気味な眼差しが覗き込んできた。これ以上近付けない、ってぐらい密着したままで。

頭を捻って少し考える。自分の買い物だとか部屋の掃除は、明日の日曜に回すとして。・・・そう言えば観たい映画があったっけ。

「・・・陶史郎さん、映画観たい?」

「どれ?」

「ドラマの続きになってるヤツ」

「ああ、あれかぁ。いいよ玉置に言っとく」 

この場合、玉置さんがチケット予約から何から何までやってくれるって意味だ。公私混同も甚だしいのに、文句ひとつ言わないすごく出来た人。

何より陶史郎さんのコトを大事にしてて、彼を好きなんだろうなって。いつもポーカーフェイスで笑った顔も見たことないけど、どことなく親近感を憶えるイイ人。
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